オバデヤ書

 

 

9月16日(金) オバデヤ書

 

「救う者たちがシオンの山に上って、エサウの山を裁く。こうして王国は主のものとなる。」 オバデヤ書21節

 

 オバデヤ書は、旧約聖書中もっとも短いものです。著者のオバデヤについて、1節に、「オバデヤの幻」とあるだけで、名前以外のことはまったく分かりません。オバデヤという名前は「主の僕」という意味で、聖書中に10人以上登場して来ます(新共同訳聖書の他の箇所では「オバドヤ」と表記:列王記上18章3節、歴代誌上3章21節、エズラ8章9節、ネヘミヤ10章5節など)。いずれも本書の著者オバデヤとは違うようです。

 

 オバデヤがどの時代に預言者として活動していたのか、それと分からせる王の治世や歴史的な出来事などの記述が全くないので、詳しいことは分かりませんが、その内容からバビロン捕囚期のことであろうと想定されています。 

 

 本書の主題は、エドムに対する裁き(1~18節)と、イスラエルの回復(19節以下)です。エドムは、死海の南東部に位置し、死海とアカバ湾を結ぶアラバの東に細長く広がるエドム高原に多数の要塞が点在し、エドムの軍事拠点として整備されていました。

 

 エドムでは農業も行われましたが、主な収入源は交易です。国内を「王の道」と呼ばれる隊商路が縦貫しており、それを利用して国内で産出する銅や鉄を輸出し、また隊商路を通行する隊商から税をとり、日用品や食糧を提供しました。

 

 エドムとイスラエルの関係は、イサクの子エサウとヤコブに始まります(創世記25章19節以下)。二人は双子の兄弟でしたが、母リベカの胎にあるときから争い(同22,23節)、生まれてからも長子の権利、父の祝福を奪い合います(同27節以下、27章)。同36章に、エサウの子孫、エドムについての記述があります。

 

 本書の1~4節は、エレミヤ書49章14~16節の言葉と、5~6節は、エレミヤ書49章9~10節と、非常によく似ています。オバデヤの活動時期について、上述のバビロン捕囚期という想定が正しければ、オバデヤはエレミヤによって語られたエドムに対する裁きの預言の実現の時が近いという認識の下に、主の言葉を語っているのでしょう。

 

 エドムに対する裁きが語られる理由は、10節以下に記されています。それは、イスラエルに対して行ったエドムの罪です。バビロンによってイスラエルの首都エルサレムが壊滅させられた際、隣国エドムはそれを傍観し(11節)、あるいは嘲笑し(12節)、やがて略奪者の仲間に加わり(13節)、そして、エドムに難を避けてエドムに逃げ込んだイスラエルの民をバビロンに引き渡したのです(14節)。

 

 そのため、彼らがしたように、彼らに報い返されるという裁きの預言が、ここに語られています(15,16節)。エドムは、イスラエルがバビロンによって滅ぼされたことで、その責任を負う必要はありません。それは、イスラエル自身の罪です。けれども、エドムも主の御前に罪なしとされる者ではないので、その罪の報いを受けることになるのです。

 

 主イエスが「人を裁くな。あなたがたも裁かれないようにするためである。あなたがたは、自分の裁く裁きで裁かれ、自分の量る秤で量り与えられる」(マタイ7章1,2節)と教えておられます。他者の苦しみに乗じておのが利を図ろうとするなら、厳しい裁きが臨むでしょう。一方、苦しむ者に手をさしのべるなら、主の憐れみを豊かに受けることが出来るでしょう。

 

 冒頭の言葉(21節)で、預言者が「王国は主のものとなる」と語っているのは、イスラエルがエドムと戦って勝つということではありません。王国がイスラエルのものになるというのでもありません。「主のものとなる」のです。主の国、神の国、主が治められる国となるのです。

 

 それは、主が平和によって治められる国です(イザヤ書26章12節、エレミヤ書29章11節など)。そして、主イエス・キリストこそ、平和の王です(エフェソ書2章14節以下、コロサイ書1章20節)。主イエスに向かい、「ホサナ」と歌って、私たちの生活の中心、私たちの心の王座にお招きしましょう。主の導きに従い、すべての人との平和を、また聖なる生活を追い求めましょう(ヘブライ書12章14節)。

 

 主よ、私たちの心に来てください。いつも共にいてください。私たちの国を平和にしてください。争いのあるところに和解を、苦しみのあるところに安らぎを、不安のあるところに平安をもたらしてください。私たちの家庭に、職場に、学校に、この町、この国、そして全世界に、キリストの平和がありますように。あなたこそ、平和の源なるお方だからです。 アーメン

 

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